• 話題
  • ステムライン社のORSERDU™(エラセストラント)が米国FDA承認を取得-ESR1遺伝子変異を有するER陽性、HER2陰性進行性、転移性乳がん患者への適応を示した初にして唯一の治療薬

  • 2023/02/02 06:28 公開  Menarini Industrie Farmaceutiche Riunite
    • ESR1遺伝子変異は、ER陽性、HER2陰性進行性または転移性乳がん患者のうち、最大で40%に認められる。
    • 標準的な内分泌療法に対する抵抗性の原因となることで、ESR1遺伝子変異の治療は、これまで困難とされていた。
    • ORSERDUは、アンメットニーズの高いESR1遺伝子変異に特化した、20年以上ぶりとなる内分泌療法の画期的な治療薬である。

    フィレンツェ(イタリア)およびニューヨーク, 2023年2月1日 /PRNewswire/ -- イタリアの大手製薬・診断薬企業であるMenarini Group(メナリーニ・グループ;以下、「Menarini」)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が、ER陽性、HER2陰性、ESR1変異の進行・転移性乳がんで、少なくとも1種類の内分泌療法後に疾患が進行した閉経後女性または成人男性の治療としてORSERDUを承認したことを発表しました。 ORSERDUは、Menarini Groupの100%子会社であるStemline Therapeutics(ステムライン・セラピューティクス、本社:ニューヨーク、以下「Stemline」)より、米国内で販売される予定です。

    Menarini GroupのCEOであるElcin Barker Ergun氏は、次のように語りました。「ORSERDUのFDA承認は、ESR1遺伝子変異を有するER陽性、HER2陰性進行性または転移性乳がん患者向けの初の治療薬です。この大きなアンメットニーズに応える標的療法を提供できることを大変誇りに感じています。 そして、この素晴らしいイノベーションを実現した臨床試験に参加いただいた患者さん、治験担当医師、および治験に携わった全ての医療スタッフの方々に深く感謝します。」

    ORSERDUは、登録制の第III相試験であるEMERALD試験の結果に基づいて、FDAの優先審査およびファストトラック指定を受けて承認されました。この試験では、エラセストラントとSOC内分泌単剤療法(フルベストラント、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン)の間で、全患者およびESR1変異を有する腫瘍のある患者で両方の主要エンドポイントを達成し、無増悪生存期間が統計的に有意であることが実証されています。

    ESR1遺伝子変異を有する患者群において、エラセストラントは、SOCと比較して、進行または死亡リスクを45%減少させる効果が確認されました(PFS HR=0.55, 95% CI: 0.39, 0.77)。2022年12月のサンアントニオ乳癌シンポジウム(San Antonio Breast Cancer Symposium;英文略称SABCS)において、CDK4/6i阻害剤(CDK4/6i)の先行使用期間に基づくPFS結果の事後解析が発表されました。 腫瘍にESR1遺伝子変異があり、CDK4/6iによる治療を12カ月以上受けていた患者群におけるPFS中央値は、エラセストラントの8.6カ月に対してSOCの1.9カ月でした。

    安全性データは、他の内分泌療法と一致しています。 吐き気や筋骨格系疼痛を含むほとんどの有害事象(AE)はグレード1および2でした。 血液学的な安全性シグナルは認められず、2つの治療群のいずれにおいても洞性頻脈を示した患者は見られませんでした。

    Mass General Cancer Center乳がん部門所属のリサーチディレクター、ハーバード大学医学部准教授、およびEMERALD試験の主任研究員を兼務するAditya Bardia医師(医学博士、薬学博士)は、次のようにコメントしました。「内分泌療法による前治療を受けた進行性または転移性ER陽性、HER2陰性乳がんは、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの領域です。 最後に承認された内分泌療法は約20年前で、この患者集団にとって有効な内分泌療法の選択肢が必要とされています。ESR1遺伝子変異は、標準的な内分泌療法に対する抵抗性の原因と考えられており、これまでのところ、治療が困難とされてきました。エラセストラントの承認は、ER陽性、HER2陰性転移性乳がんの患者さんに新しい選択肢を提供するものであり、歓迎すべきものです。本療法は、転移性乳がんのESR1遺伝子変異を標的とし、1日1回の経口投与という利便性も備えています。」

    MetavivorのCEOであるSonya Negley氏は、次のようにコメントしました。「米国では毎年30万人が乳がんと診断され、そのうち43,000人以上が転移性乳がんによって亡くなっています。 転移性乳がんの患者さんの命を守り、治療効果を高めるためには、より優れた新しい治療法が早急に必要です。 ER陽性、HER2陰性、または転移性乳がんの40%に見られるESR1変異を有する腫瘍患者に対して、新しい経口内分泌療法であるORSERDUが承認されたことに、私たちはとても嬉しく思っています。 私たちは、患者さんに、転移性乳がん治療の過程で、ESR1遺伝子変異の検査を受け、医療チームが患者さんの病態に応じて適切な治療法を特定できるようにアドバイスしています。」

    ORSERDUは、間もなく米国内で販売される予定です。 Stemlineは、患者がORSERDUを使用できるよう支援し、使用への障壁を取り除くためのサービスを提供する予定です。 患者向けサポートプログラムであるStemline ARCは、教育情報の提供から、保険適用範囲の理解や可能性のある財政支援オプションの確認まで、治療を開始するための様々な側面から対象患者をガイドするために利用できます。 患者および医療従事者向けの詳しい情報は、1-833-4-STEMLINE (1-833-478-3654) にお問い合わせください。

    Menarini Groupは、EMERALD試験を実施したRadius Health社から2020年7月にエラセストラントのグローバルライセンス権を取得しました。今回の承認により、Radius社は、マイルストーン支払いと商業販売によるロイヤルティを受け取ることを可能にします。 Menarini Groupは、今後、エラセストラントのグローバルな登録、商業化、およびさらなる開発活動を全面的に展開する予定です。

    EMERALD III相臨床試験(NCT03778931)について

     EMARALD第III相試験は、ER陽性、HER2陰性進行性あるいは転移性乳がん患者を対象に、エラセストラントの二次あるいは三次単剤療法を評価する無作為化、非盲検実薬対照試験です。本試験では、CDK4/6阻害剤を含む第一次または第二次内分泌療法による治療歴のある患者478名が登録されました。患者はエラセストラントまたは治験責任医師が選択した承認済みホルモン剤のいずれかに無作為に割り付けられました。主要評価項目は、全患者群とエストロゲン受容体1遺伝子(ESR1)変異患者群における無増悪生存期間(PFS)でした。

    ORSERDU(エラセストラント)について

     米国食品医薬品局(FDA)は、ORSERDUを、ER陽性、HER2陰性、ESR1遺伝子変異の進行性あるいは転移性乳がんで、少なくとも1種類の内分泌療法後に病勢進行した閉経後女性あるいは成人男性に対する治療薬として承認しました。 現在、欧州医薬品庁(EMA)において、販売許可申請の審査が行われています。

    また、エラセストラントは、転移性乳がんを対象とした複数の臨床試験において、単独または他の治療法との併用で検討されています: ELEVATE(エレベート:NCT05563220); ELECTRA(エレクトラ:NCT05386108);ELONA(エローナNCT05618613);ELCIN(エルシンNCT05596409) また、エラセストラントは、乳がんの初期ステージにおいても評価を行う予定です。

    処方情報の全文は、www.orserdu.comをご覧ください。

    重要な安全性情報

    警告および注意事項

    脂質異常症: ORSERDUを服用した患者で、高コレステロール血症および高トリグリセリド血症がそれぞれ30%および27%の発現率で認められました。 また、グレード3および4の高コレステロール血症および高トリグリセリド血症の発現率はそれぞれ0.9%および2.2%でした。 ORSERDUの投与開始前および投与中は定期的に脂質プロファイルを測定してください。

    胚・胎児毒性: 動物における所見とその作用機序から、ORSERDUを妊婦に投与した場合、胎児に害を及ぼす可能性があります。 妊娠中の女性および妊娠の可能性のある女性には、胎児への潜在的なリスクについて注意を促してください。 生殖能力を有する女性には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は効果的な避妊を行うようアドバイスしてください。 生殖能力を有する女性のパートナーを持つ男性患者には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は効果的な避妊を行うように指導してください。

    有害反応

    ORSERDUを投与された患者のうち12%に深刻な有害反応が発生しました。 ORSERDUを投与された患者ののうち1%以上に発現した深刻な副作用は、筋骨格系疼痛(1.7%)および吐き気(1.3%)でした。 致命的な有害反応は、心停止、敗血症性ショック、憩室炎、原因不明(各1名)など、ORSERDUを投与された患者の1.7%に発生しました。

    ORSERDUの臨床検査値異常を含む主な有害反応(10超えは、以下の通りです。筋骨格系疼痛(41%)、吐き気(35%)、コレステロール増加(30%)、AST増加(29%)、トリグリセリド増加(27%)、疲労(26%)、ヘモグロビン減少(26%)、嘔吐(19%)、ALT増加(17%)、ナトリウム減少(16%)、クレアチン増加(16%)、食欲低下(15%)、下痢(13%)、頭痛(12%)、便秘(12%)、腹痛(11%)、顔面潮紅(11%)、消化不良(10%)。

    薬物相互作用

    CYP3A4誘導剤および/または阻害剤との併用: ORSERDUと強力または中程度のCYP3A4阻害剤との併用は避けてください。 強力または中程度のCYP3A4誘導剤とORSERDUの併用は避けてください。

    特定の患者層への使用

    授乳中: 授乳中の女性には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は授乳をしないよう指導してください。

    肝機能障害: 重度の肝機能障害(Child-Pugh C)のある患者へのORSERDUの使用は避けてください。 中等度の肝機能障害(Child-Pugh B)のある患者にはORSERDUの投与量を減らしてください。

    小児患者におけるORSERDUの安全性とその有効性は確立されていません。

    疑われる有害反応の報告については、Stemline Therapeutics社(1-877-332-7961)、FDA(1-800-FDA-1088)、または www.fda.gov/medwatchまでご連絡ください。

    効能・効果

    ORSERDU(エラセストラント)345mg錠は、エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性、ESR1遺伝子変異の進行性あるいは転移性乳がんで、少なくとも1種類の内分泌療法後に疾患が進行した閉経後女性あるいは成人男性の治療を適応症例とされています。

    詳細については、こちらのORSERDUの全処方情報をご覧ください。

    Menarini Group(メナリーニ・グループ)について

    Menarini Groupは、売上高40億ドル以上、従業員17,000人以上の国際的な大手医薬品・診断薬企業です。 Menarini社は、アンメットニーズの高い治療領域にフォーカスし、心臓病、腫瘍、肺炎、消化器病、感染症、糖尿病、炎症、鎮痛剤などの製品を提供しています。 Menariniは、18の生産拠点と9つの研究開発センターを有し、世界140カ国で広く製品販売を展開しています。 詳細については、www.menarini.comをご覧ください。

    Stemline(ステムライン・セラピューティクス)について

    Stemline TherapeuticsはMenarini Groupの100%子会社で、新規のがん治療薬の開発および商業化に焦点を当てた商業段階のバイオ医薬品会社です。 Stemline社は、希少な血液がんである芽球性形質細胞樹状細胞新生物(BPDCN)の患者向けに、CD123を標的とした新規標的治療薬Elzonris®を米国と欧州で商業販売し、現在、米国と欧州でBPDCNに対する唯一の承認済み治療薬です。 また、Stemline社は、Karyopharm社とのライセンス契約に基づく多発性骨髄腫のXPO1阻害剤であるNexpovio®を欧州で販売しています。 Stemline社は、臓器や組織などで塊をつくる固形がんおよび血液がんを対象に、さまざまな開発段階にある低分子化合物および生物学的製剤からなる広範な臨床パイプラインを有しています。

    ロゴ - https://mma.prnasia.com/media2/1958938/MENARINI_GROUP_Logo.jpg

     

     

新着